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新会社法で起業はこう変わる 〜商法改正とその対策

商法の改正は全ての会社に関係し、また、抜本的な改正であっため、その影響は広く大きいものです。
平成18年の会社法施行により、大きく法律が変わりました。起業時に関係する主な法改正を取りまとめてみました。
また、法改正が起業に対してどのような影響を及ぼすか考えて見ましょう。また、法改正に伴って今後起こりうる状況を予想するとともに、今後の状況変化に対する対策も考えてみました。

最低資本金規制の撤廃

特例を除いて、株式会社の場合、最低資本金が1000万円必要だったところ、 法改正により資本金がいくらでも(0円でも)株式会社を設立できるようになりました。
株式会社を作る際の最大のハードルが撤廃されたことになります。

役員要件等の緩和

取締役3名以上、監査役1名以上が必要だったところ、 取締役1名(監査役はいなくてもよい)いれば足りることとなりました。 また、役員の任期も10年まで伸長できるようになりました。

機関設計

これまで必須だった取締役会を置かないことが出来るようになるなど、会社内の機関に関する裁量が広がりました。
また、税理士や公認会計士を会計参与として会社に迎えることができるようになりました。

株式設計等

株の内容によって議決権に差をつけることや、株を相続した人に対して会社が売渡を請求することが出来るなどの改正がされました。
これらをうまく利用すれば、会社内の意思決定をスムーズにしたり、出資者が経営に口を出すことを防止しつつお金を集めること等が可能になります

有限会社の廃止

今後有限会社の名前で会社を作ることが出来なくなりました。

合同会社・LLPの新設

有限会社の廃止と同時に、合同会社を設立することができるようになりました。 また、会社法の規定ではないものの、LLPも設立できるようになりました。
これらにより、起業形態に幅が出ました。より、事業内容にあった形態を選択できるでしょう。

起業や商取引の世界の中で今後予想される事態を予想してみたいと思います。 また、予想される事態に対し、会社が生き残るための対策を考えてみます。

予想1:会社の乱立

最低資本金や必要役員数の緩和により、これまでよりも簡単に会社が作れるようになりました。 今後間違いなく会社の数が増えるでしょう。そして、反対の視点から見るとさらに多くの会社がつぶれていくことになります。
もともと日本は会社の数が多いと思われます。本来個人事業が当てはまるべき場合でも、会社の体をなしていることが 多いことからもお分かりいただけると思います。そして、今回の会社法のためにさらに会社の数が増加することになります。

会社の乱立への対策

対策@慎重な取引をする
会社の乱立時代の到来を予想し、対内的、対外的な対策を考える必要があると思われます。

まず、対内的な対策としては、相手方となる会社に対して慎重になることです。
今後、会社には、存在すべき価値のある本物の会社と器だけの会社が混在し、 より後者が増えることになります。いわば玉石混合の状態です。新規の取引を行う際などは、十分に注意しなければなりません。 それこそ、商品を卸したとたんに取引先に倒産されるなどの悪質なケースも多く発生するかもしれません。 簡単に会社を作れるということは、簡単に潰せることでもあります。 そこまで極端なケースは稀としても、信頼に値しない会社が多数存在するようになることが予測されます。

対策A信頼性や個性のアピール
対外的には、自社の信頼性や個性をよりアピール必要があります。
予想では、「会社の数が増え、さらにその実が伴わない会社がたくさん・・・」となります。 こういった会社に自分の会社が埋もれないようにしなければなりません。 逆に、健全な会社の体質や他には無いサービスなどの個性を打ち出すことが出来れば、 ライバル社に大きな差をつけることもできるのです。いずれにせよ、これから生き残るためには、会社に光る部分が無ければだめでしょう。
信頼性をアピールするための会社法のツールには下記のようなものが考えられます。

会計参与・・・会計参与となるべき税理士等の責任が大きいだけに、 会社の決算書類に対する信頼性は格段に向上します。金融機関の中には、 会計参与設置会社の場合、代表者の不動産担保を要求しないことや、 金利を下げることを打ち出しているところもあります。

役員・・・取締役や監査役をしっかり設置し、さらには同族以外の人間を 役員に招いていると信頼は増すケースが多いでしょう。
また、多くの会社が10年に任期を伸張することが予想される中、 あえて2年の任期でしっかり役員登記をすることもアピールになるでしょう。 登記からは、やるべきことをしっかりやっている会社、目先の金を惜しまない会社という印象を受けます。

資本金・・・資本金10万円や1万円といった会社も多数登場します。そういった中で、 本気で事業をやる意思があることを示すためにはある程度資本金を積むべきでしょう。

決算公告・・・法律上の義務ではあるものの、罰則を受けているケースも無かったため、 ほとんどの会社はこれをしていません。しかし、会社という公共の器を借りて事業をする以上、 節税や有限責任といったおいしいところだけを享受すべきではなく、しっかりと義務を果たすべきだとも考えます。 さらに、今ならば、他で決算公告をしているところはほとんどないため、やれば会社の健全性を大いにアピールすることができます。 インターネット上で公告をすればほとんど費用もかからないことも利点です。

定款・・・会社法では、各会社による裁量の範囲が格段に広がりました。 そして、各会社の取組は定款に表れます。また、今後は債権者や取引先から定款の提出を求められるケースも発生すると思われます。 このケースに、会社の原状と将来への展望、さらにはいつ起こるかわからないアクシデントに備えた対策を反映した定款を提出できれば、 相手方の信頼を得られることになるでしょう。一方、旧商法時代の内容で作られた定款をそのまま提出した場合に受ける相手方の印象は・・・ ご想像におまかせします。

予想2:株式会社ブランドの低下

これまで、株式会社をつくることは、最低資本金や役員数の関係でハードルが非常に高く、 それが株式会社というブランドそのものの価値を高めていました。 しかし、会社法により誰でも簡単に株式会社を作ることが出来るようになり、しかも今後はその乱立が予想されます。
会社法のスタートにより、株式会社のブランド力が低下することになるのです。

株式会社ブランドの低下への対策

対策@身の丈に合った経営をする
株式会社のブランド力低下とは、身の丈に合った経営をすべきだとも言い換えることができると思います。
これまでは、株式会社というだけで、ある程度の規模の会社だとか、立派な事業をしている会社という 印象を与えるケースもありました。そのため、個人事業的な小規模な会社や、 社内の管理体制がまったくなっていないような会社までも無理に株式会社を名乗ることが多くありました。 しかし、会社法によりその行為は全く意味の無いものとなりつつあります。
今後より重要となるのは、会社それぞれの状況を鑑み、身の丈にあった経営をすることです。
身の丈に合った経営をすべきだというメッセージは、様々な箇所でハードルを下げた会社法全体からも読み取ることができます。 そして、より会社の個性や事業内容が試される時代が到来することを意味していると考えられます。

対策A株式会社以外の事業形態を選択する
周囲に株式会社が多いからといって、無作為に株式会社を選択しているような状況では変化についてくことが難しいでしょう。 これは旧法時代に設立した有限会社が、意図もなく有限会社で存続している場合も同様です。
事業形態は、現状と将来の展望を加味して選択すべきであり、今の事業形態が現状とマッチしていない場合は変更をすべきです。 必要があれば積極的に株式会社以外の事業形態を選択すべきでしょう。さらに、こういった姿勢は、経営に対してプラスアルファを生み出します。
たとえば、「経営者の顔が見える経営をしたいから合同会社を選びました」 「仲間うちの協力体制を重視したいからLLPにしました」と言ったほうが、無作為に株式会社を選択するよりも取引先等へのアピールにもなり、 また、地に足の着いた経営につながるのです。場合によっては、あえて個人事業を続けることも重要な選択肢の一つになるのです。

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