有限会社の取り扱い、資本金の規制撤廃など新会社法に関してのご説明
新会社法ドットコムTOP > 新会社法解説 > 中小企業にとっての改正注目ポイント
今回の改正で中小企業に関連しそうなものにポイントを絞りました。 あくまで、対象となるのは閉鎖的な※1中小企業です。 ※1閉鎖的な・・・株式の移転をするのに制限のある会社。上場企業以外の会社では、たいてい 「株式の移転には取締役会の承認が必要」などといった内部規約が存在している。
有限会社にかかわる方々にとって一番気になるところではないでしょうか? 有限会社法が会社法にまとめられたことによって、改正後は有限会社を作ることができなくなります。 しかし、あくまで新しく作ることができなくなったということであり、これまで存在していた有限会社が 直ちに消滅するという意味ではありません。有限会社のままでも、改正後は「特例有限会社」として 存続可能です。 ★後述の「有限会社の対応方法 」もご参考に。
数年前に、起業を支援するため確認会社(俗にいう1円会社)の特例ができました。この制度の成功 もあって、改正後は、確認会社でなくても、特に資本金の制限なく会社を作れるようになりました。 これまでは、有限会社で300万円、株式会社で1000万円の資本金が会社設立時に必要であり、 起業の障壁となっていました。しかし、スタート時にそれほど資金を必要としないIT関連の会社の台頭 により、資本金の制限が無くても会社を作れるようにすべきという結論になりました。そのため、今後は 資本金1円であっても会社を簡単に作ることができるようになります。 なお、これまでに確認会社で起業した会社は、5年以内に資本金を増資しなくても解散する必要はなく なりました。しかし、登記簿にはその旨の解散の文言が登記されてしまっているため、その旨を抹消 する登記が必要になります。この資本金の制限撤廃を利用することで、会社決算書の未処分損失を 整理することもできそうです。
★役員とは、取締役や監査役といった会社の幹部のことです。
これまで、多くの中小企業では「ワンマン社長」が実権を握っていました。ところが、そのような会社で も、法律のために3名以上の取締役と監査役を名前だけでも用意する必要がありました。今回の改正 では、そのような実質と形式のギャップを埋めることができるようになっています。この件について視点 を変えて考えてみると、「名前だけの役員」は廃止したほうが無難だと思われます。 これまで、社長の身内の方などが、『法律だから仕方なく』役員として登記されていたようなケースが 多くありました。しかし、これからは名前だけの役員は必要ありません。それなのに、これまでどおり 役員として登記をしているようなケースでは、役員の経営責任などを問われた場合に、「自分は名前 だけで、経営にはタッチしていない」といった言い逃れが難しくなってしまうのではないでしょうか?
任期が延びると単純に利益になるのは、役員変更の登記費用が節約できることです。 これまでは、2年に1回は役員の変更登記をする必要がありました。それが、任期を延ばせば回数を 減らすことができます。しかし、不安点もあります。たとえば、任期を10年とした場合、どうやって役員 変更の登記を忘れないように管理するかです。登記には期限があり、その間に登記しないと、過料等 の罰則を受ける事があります。もう一つは、役員が任期満了までの役員報酬を要求してきた時です。 取締役などの役員は任期の途中でも解任することができます。しかし、その解任に正当な理由が存在 しない場合、その役員が莫大な役員報酬を要求することも考えられるのです。
会社の機関とは、株主総会や取締役会などの意思決定機関です。一般的な中小企業では、会社所有者 と経営者が同一化しているケースが多く、あまり機能しているとはいえない状態でしたが・・・。
今回の法改正の基本趣旨の一つとして、「法律での制限は最低限とし、あとは定款による個別の会社自 治の裁量権限を増す」ことが挙げられます。 改正後では、会社の憲法ともいうべき定款の内容によって、会社に対する評価が変わるかもしれません。 定款の規定の仕方によって、会社の方向性や運営に関する考え方が見通されてしまうかもしれないので す。また、新商法の規定を上手に定款に組み入れることで、将来の『まさか』の事態に救われるかもしれま せん。これらは少し大げさだとしても、改正前となんら変わらない定款の内容では、少なくとも「定款による 会社自治」に対して関心が無いという事だけは伝わります。 そして、今回の改正では、債権者などの会社の利害関係人は『会社に対して定款の閲覧を要求できる』 ようにもなりました。定款の重要性が増すことで、近い将来、取引を開始する前提として定款の閲覧を要 求されるようになるような時代が来るかもしれません。 また、権限が増すということは、当然責任も増大することになります。 定款の重要性が増す以上、「うちの会社の定款がどうなっているかわからない・・・」ではやはり物足りない ところです。是非、この改正を機会に、新会社法のエッセンスを活かし、会社の現状と将来への展望を反映 させた定款に作り変えることをおすすめします。